ネット上の掲示板やSNSで毎年のように飛び交うのが、4月〜6月の手取り激減の詳細まとめを求める焦燥交じりの投稿です。「4月に頑張って残業代を10万円稼いだのに、秋から手取りが減って結局タダ働きになった」という生々しい体験談が語られることも珍しくありません。
では、なぜ4月から6月の残業で損する理由としてこれほど恐れられているのでしょうか。その本質は「手取りの総額が減る」ことではなく、「春に稼いだ残業代のツケを、残業が減った秋以降に1年間にわたって分割払いさせられる」という時間差の罠にあります。
日本の社会保険制度では、4月から6月までの給与水準をもとに、その年の秋から翌年夏までの保険料を再設定します。春先に繁忙期を迎えて残業を急増させると、保険料の算定基準が一段も二段も跳ね上がります。その結果、残業がゼロに戻った10月以降も「春の激務水準」に基づいた高額な社会保険料が毎月機械的に天引きされ続ける現象が発生します。「働いていないのに引かれる」という強烈な負担感こそが、手取り激減の噂の正体です。