シミ治療において最も深刻な失敗を招く原因は、「シミの種類を見誤ること」にあります。一口にシミと言っても、その原因と深さは多種多様です。
加齢や紫外線が主因である「老人性色素斑(日光黒子)」、ホルモンバランスの乱れと摩擦が関与する「肝斑(かんぱん)」、遺伝的要素の強い「雀卵斑(そばかす)」、ニキビや傷跡が原因の「炎症後色素沈着(PIH)」。これらは見た目が似通っていても、治療法が正反対になるケースが珍しくありません。
典型的な誤解の例が、肝斑に対して高出力のシミ取りレーザーを単独照射してしまうケースです。肝斑が潜んでいる部位に刺激の強いレーザーを当てると、メラノサイトが激しい炎症反応を起こし、かえってシミが広範囲に濃くなってしまう危険性があります。また、ネットの口コミを信じて皮膚科処方のハイドロキノンを長期間自己流で塗り続け、接触皮膚炎や白斑化(色が抜け白くなる現象)を引き起こす例も報告されています。正しい鑑別診断を経ずに成分名だけで化粧品や個人輸入薬に手を出すことは、極めてリスクの高い行為です。