数字の裏側には、経営トップとしての強い葛藤と責任感がありました。2009年6月、創業家出身としてリーマン危機の真っ只中に社長へ就任した豊田章男氏(現会長)は、当時の苦境を複数のインタビューや決算記者会見で率直に振り返っています。
2014年5月、5年ぶりに単体での法人税納付を再開した際の決算説明会において、豊田氏は次のような趣旨の告白を残しています。
「企業は利益を出して税金を納めてこそ、初めて社会の一員として認められる。税金を払うことができて、ようやくスタートラインに立てた」
公の場で見せたその表情には、世界トップメーカーを率いながらも国税を納められなかった5年間に対する経営者としての深い悔しさと忸怩(じくじ)たる思いが滲んでいました。雇用を守り抜き、国内生産体制を死守しながらV字回復を果たした背景には、「適正に納税して国に貢献する」という強い執念が存在していたことが一次証言から窺えます。