浴室の引き戸を開けた瞬間に広がるのは、見上げるほど高い吹き抜けの梁組と、ほのかな硫黄と檜の芳香です。山鹿温泉さくら湯の歴史と木造建築は、日本近代建築の匠の技を現在に伝える生きた遺産と言えます。江戸時代の絵図や古文書を手がかりに、熊本城の本丸御殿復元にも携わった宮大工や伝統工芸士の手によって組み上げられた構造は、浴槽の底から天井の湯気抜きに至るまで、一切の妥協を排した意匠で統一されています。
満たされている湯も一級品です。山鹿温泉の泉質と効能は、無色透明でまろやかな「アルカリ性単純温泉」。pH値が約9以上と高く、肌表面の古い角質を優しく落とし皮脂を乳化させる働きがあるため、古くから「乙女の肌」「美肌の湯」と称えられてきました。湯口から注ぎ出る源泉は加水なしのかけ流しで、湯船に身を沈めると微細な気泡が肌にまとわりつき、シルクのような滑らかな感触が全身を包み込みます。神経痛や冷え性の緩和はもちろん、日頃のデスクワークによる疲労やストレスを芯から解きほぐしてくれる実感を覚えるはずです。