ソーシャルメディア上では「グリルズを付けると自分の歯を削らなければならないのか」「二度と元に戻せないのではないか」といった誤解が依然として散見されます。前述の通り、現代のカスタムグリルズは歯を一切削らずに装着できる可動式装置です。しかし、「削らないから完全に安全である」と過信するのは極めて危険な認識と言わざるを得ません。
日本および海外の審美歯科学会や歯科医師が最も懸念を示しているのが、グリルズ歯への影響と口腔衛生の急激な悪化です。金属製のキャップで歯全体を密閉すると、歯とグリルズの微小な隙間に唾液、糖分、細菌が入り込み、強固なプラーク(歯垢)が形成されます。唾液が本来持っている「自浄作用」や「再石灰化作用」が完全に遮断されるため、わずか数日間の不適切な使用でもグリルズ安全性と虫歯リスクは跳ね上がり、酸によってエナメル質が溶け出す「脱灰」や重度の歯周病を引き起こす温床となります。
さらに見逃せないのが、咬合(噛み合わせ)への物理的な干渉です。金属キャップの厚み(通常0.5mm〜1.0mm程度)が存在する状態で上下の歯を強く噛み締めると、特定の歯に異常な咬合圧が集中します。これが原因で顎関節症を発症したり、天然の歯にマイクロクラック(微小なヒビ)が入ったり、最悪の場合は歯の神経が壊死するリスクすら孕んでいます。加えて、粗悪な合金素材を使用した安価な製品では、ニッケルやコバルトの溶出による重度の金属アレルギーや、歯茎が黒ずむメタルタトゥーの発症例も報告されています。食事の際は必ず外すこと、そして連続装着時間は数時間程度に留めることが、歯を守るための絶対防衛ラインです。