『クイズ!ヘキサゴンII』が世に放った最大の発明は、従来「恥」とされていた無知や誤答を、愛されるエンターテインメントへと昇華させた点にあります。島田紳助氏は、解答者の知識レベルを瞬時に見極め、絶妙な間でイジることで「おバカキャラ」という新たなタレントカテゴリーを確立しました。
しかし、その絶対的な権力構造は、同時に脆さを孕んでいました。紳助氏は出演者にとって番組MCであると同時に、キャスティング権とプロデュース権を一手に握る「興行主」そのものでした。上地雄輔氏が公の場やブログで紳助氏を「父ちゃん」と呼び慕っていた事実は、スタジオ内に血縁以上の強固な主従・疑似家族関係が成立していたことを物語っています。
盤石に見えた王国は、2011年8月23日、突然の終焉を迎えます。暴力団関係者との親密な交際が発覚したことを理由に、島田紳助氏は緊急記者会見を開き、芸能界からの即時引退を表明しました。この引退劇は、予定されていた総選挙企画を吹き飛ばしただけでなく、ファミリーと呼ばれた出演者たちから「最大の盾」と「演出家」を同時に奪い去る結果となったのです。