天下井隆二氏と西城秀樹さんの関係は、単なる芸能プロダクションの社員とタレントの枠を遥かに超えていました。天下井氏が後年のインタビューや手記で語った告白録には、熱狂の裏にあった凄まじい現場の空気感が克明に記されています。
デビュー直後、甘いマスクのアイドル全盛期において、秀樹さんの持ち味である「ロックの衝動」「汗と絶叫」を世間に認めさせるため、天下井氏はテレビ局やレコード会社と激しい議論を戦わせました。アクションが激しすぎてマイクスタンドを壊してしまうハプニングさえも演出へ昇華させ、スタンドマイクを斜めに傾けて絶叫する独自のスタイルを生み出したのも、二人の阿吽の呼吸によるものでした。
また、天下井氏のマネジメントにおける最大のハイライトは、スタジアムライブという巨大市場の開拓です。前例のない野外球場での大爆発演出や、巨大クレーンに吊り下げられながら歌うパフォーマンスなど、安全面の懸念から周囲が難色を示す企画に対し、秀樹さんは「天下井さんが面白いと言うなら命を懸けてやる」と応え、天下井氏は「秀樹の情熱を信じて全責任を背負う」と腹を括ったといいます。互いへの絶対的なリスペクトがあったからこそ、数々の伝説が生まれたのです。