この現象の起爆剤となったのは、料理研究家のリュウジ(料理研究家)氏をはじめとするインフルエンサーたちの発信力だ。「虚無」と「至高」の狭間で日常のリアリズムを突くリュウジ氏のレシピは、料理へのハードルを極限まで下げ、失敗を恐れる人々の背中を押した。「パイ生地なんていらない、これで十分ウマい」という明快な肯定が、多くの自炊層を救ったことは疑いようがない。
時を同じくして、巨大レシピ投稿サイトを運営するクックパッド株式会社の検索データでも、餃子の皮のアレンジ関連ワードは記録的な数字を叩き出し続けている。同プラットフォームに投稿される無数の主婦たちの知恵は、タルト型がなくてもココット皿やアルミカップで代用する工夫へと枝分かれし、時短・節約アレンジ料理(調理ジャンル)の金字塔として定着した。プロの合理的なアプローチと一般ユーザーの生活実感が合流した地点に、この大ヒットは生まれた。