出版不況の影が色濃く漂う近年の出版業界において、日本初の60代向けファッション誌として誕生した『素敵なあの人』の快進撃は、異例中の異例として各方面から注目を集めている。この潮流を仕掛けた株式会社宝島社は、綿密なマーケティングによって「シニア向け」という記号に押し込められていた巨大な潜在ニーズを掘り当てた。
従来のシニアファッションといえば、どこか保守的で体型カバーばかりを意識した無難な服が主流だった。しかし、高度経済成長やバブル期を駆け抜け、DCブランドやインポートの洗礼を浴びてきた世代が、急におばあちゃん服を着たいと思うはずがない。その本音を的確に捉えた企画力こそが、停滞する市場を揺るがす原動力となった。