宮島口旅客ターミナルに足を踏み入れると、広々とした吹き抜け空間の先に2つの乗船改札がほぼ等間隔で並んでいます。向かって右側が「JR西日本宮島フェリー」、左側が「宮島松大汽船」。この洗練されたシームレスな設計こそが、実は乗り場誤認を誘発する最大の構造要因となっています。
現場取材を行うと、出航ベルの音に焦った旅行者が案内板を十分に確認しないまま、直近で扉が開いている改札へ吸い込まれる姿が頻繁に目撃されます。SNS上でも「大鳥居のそばを通る船に乗るつもりだったのに、気づいたら普通の航路だった」「広電のセット券を持っていたのにJRの改札に並んでしまい、ゲート前で止められた」といった戸惑いの投稿が散見されます。
最大の問題は、JR西日本宮島フェリーが運航する「大鳥居接近ルート」の存在です。宮島口発9時10分から16時10分までの便において、JR便は大鳥居を海上から眺められるよう大きく南側へ迂回して宮島桟橋へ向かいます。一方の宮島松大汽船は、宮島桟橋までの最短距離を直線的に進むダイヤ編成を採用しています。「海上からの記念写真を狙っていたのに直行ルートの船に乗ってしまった」という落胆の声は、乗り場の並列配置と両社の差別化ポイントを把握していないことに起因しています。