作品の舞台裏には、情熱と試行錯誤に満ちた数々のドラマが存在していた。当時、大ヒットドラマ『3年B組金八先生』で一躍時の人となっていた武田鉄矢だが、映画撮影の現場では全く異なる緊張感に包まれていたという。
朝間義隆監督は、演技の「生々しさ」を徹底的に追求した。武田に対して「テレビのバラエティで見せる顔を捨てろ」と厳しい要求を突きつけ、NGが数十回に及ぶことも珍しくなかった。特に生徒役の若手キャストたちと心を通わせる重要なシーンでは、台本にない即興のやり取りがそのまま採用されたというエピソードが残っている。
撮影が行われたロケーション現場では、地域住民の熱心な協力があった。武田自身もロケ期間中は滞在先の宿で毎夜スタッフやキャストと酒を汲み交わし、作品づくりへの情熱を語り明かしたという。劇中で見せる主人公の苦悩や涙には、演技を超えた武田鉄矢という人間そのもののリアルな感情が投影されていたのだ。