東京のハッテン場事情を語る上で欠かせないのが、都市の再開発に伴う空間の再編です。2020年代前半から続く商業ビルの建て替えや建物の老朽化を受け、長年親しまれてきた一部の老舗サウナや雑居ビル内のクルージングスペースが惜しまれつつ幕を閉じる一方、よりクリーンで管理の行き届いた施設へのリニューアルや新規オープンが相次ぎました。
ネット上の情報では「アプリの普及でリアルな店舗は衰退した」という言説も見られますが、現場の取材やコミュニティの動向を見る限り、それは一面的な見方に過ぎません。画面上のやり取りを飛び越え、「その場の空気感や偶発的な出会い」を求める層によって、リアルな空間の需要は依然として根強く保たれています。特に東京を牽引する3大エリアでは、それぞれ異なる進化を遂げています。
新宿二丁目エリアは、ゲイタウンの中心地としての利便性を活かし、バーやクラブとの回遊性が高い点が特徴です。若年層からインバウンド(訪日外国人)まで幅広い層が集まり、週末には入場規制がかかる店舗も見られます。一方で上野・浅草エリアは、昔ながらの落ち着いたサウナ文化が根強く残り、ガチムチ系や年上好みの層が集う独自のコミュニティを強固に維持しています。さらに池袋エリアは、サブカルチャーや若者文化と隣接しながら、独自のコンセプトを打ち出した個室型クルージングスペースが安定した稼働を続けています。