溝状舌と非常によく併発・混同される病態に「地図状舌(ちずじょうぜつ)」があります。両者の違いを整理すると以下の通りです。
地図状舌は、舌の表面に白く縁取られた赤く平滑な斑紋が出現し、その形や位置が日によって地図のように変化・移動するのが特徴です。一方、溝状舌は「溝そのものの形態」であり、位置が移動することはありません。ただし、溝状舌の溝の周囲に地図状舌の病変が重なって出現するケースは臨床上頻繁に見られます。
患者が最も恐れる溝状舌の癌化リスクについて、医学的には「溝状舌自体が前癌病変(癌の前段階)になることはない」と結論づけられています。しかし、溝の奥に潰瘍ができているのに「いつもの溝状舌だろう」と自己判断して放置した結果、初期の舌癌の発見が遅れる危険性は否定できません。舌癌の場合は、溝とは別に「硬いしこり(硬結)」を触れたり、2週間以上同じ場所の潰瘍が治らなかったりする特徴があるため、注意深い鑑別が必要です。