1980年代初頭、日本のメディア界を席巻した一大旋風があった。『週刊少年ジャンプ』(集英社)の看板として一世を風靡した『Dr.スランプ アラレちゃん』である。自称・天才科学者である則巻千兵衛の手によって生み出されたアンドロイド少女、則巻アラレ。彼女が地球を真っ二つに割り、月を木っ端微塵にするナンセンスな日常は、瞬く間に日本中を虜にした。
アニメ化を手掛けた東映アニメーションとフジテレビによるゴールデンタイムの放映は、社会現象と呼ばれる視聴率を記録。テレビの前の少年少女にとって、ペンギン村は永遠のユートピアとなった。だが、作者である鳥山明の創造性は一か所にとどまることを拒んだ。その熱気が冷めやらぬうちに世へ送り出されたのが、壮大な叙事詩『ドラゴンボール』だ。
このふたつの巨塔は、独立した作品でありながら同じ血脈を共有している。悟空がレッドリボン軍の追跡を逃れて迷い込んだペンギン村のクロスオーバー回は、今なおファンに語り継がれる伝説のエピソードだ。日常と冒険、ギャグとシリアス。二つの地平が交錯した瞬間、日本の漫画界における「シェアード・ユニバース」の原型が確立された。