山口県の限界集落を語る上で、多くの人々の記憶に刻まれているのが周南市金峰(みたけ)の郷集落です。2013年に発生した「周南市連続放火殺人事件」は、中山間地域における人間関係の孤立と、過疎化がもたらす集落崩壊の縮図として社会に強烈な衝撃を与えました。
事件から年月が経過した現地を訪れると、周囲を深い緑に囲まれた集落は、木々のざわめきと鳥の鳴き声だけが響く静寂に包まれています。事件当時に十数人だった住民はさらに減少し、現在は数世帯の高齢者が身を寄せ合って暮らすのみです。かつて耕作されていた棚田は雑草に覆われ、静かに自然へと還りつつあります。残された住民同士が支え合いながら生活を紡ぐ一方、近隣との交流機会の減少や急病時の不安を抱えながらの日々が続いています。