私たちが何気なく親しんでいるこの風習の根底には、古代日本の陰陽道が深く関わっている。恵方とは、その年の十干に応じて福を司る神「歳徳神(としとくじん)」が滞在する方角を指す。
平安の天才陰陽師・安倍晴明の時代から、暦と天体の動きを読み解いて吉凶を占う技術は重宝されてきた。歳徳神がいる方角に向かって事を行えば「万事大吉」とされ、初詣や旅立ちの方角としても重視されてきた歴史がある。
もともとは大阪の花街で商売繁盛や無病息災を祈願して始まったとされる巻き寿司の丸かじりだが、その背景には陰陽道の方位信仰が脈々と息づいているのだ。