吉良吉影は明確な「悪役(ヴィラン)」である。にもかかわらず、なぜこれほどまでに愛されるのか。心理学の視点から見ると、完璧な社会人を演じ続ける現代人が抱える「ペルソナ(仮面)」と「シャドウ(影)」のバランスが関係している。
社会規範に従い、規律正しく働くビジネスパーソンにとって、吉良吉影の持つ「圧倒的な自我と独自の美学」は一種の解放感を与える。そのネクタイを身につけることは、社会に適応しながらも己の個性を失わないという、密かな自我の誇示なのだ。悪役の美学を纏うことで、過剰なストレス社会を生き抜く強さを手に入れているとも解釈できる。