日本肥満学会(JASSO)が策定した基準に基づくと、170cmの標準体重(適正体重)は約63.58kg(四捨五入して約63.6kg)と算出されます。この計算式は「身長(m)×身長(m)×22」という国際的に用いられる体格指数(BMI)に基づいたものであり、生活習慣病や感染症などの罹患率が統計的に最も低く、平均余命が最も長いとされる「健康重視」の数値です。
しかし、特に女性のライフスタイルメディアや下着メーカーの意識調査を参照すると、この63.6kgという数値に対して「太っている」「重すぎるのではないか」と強い心理的抵抗を抱く人が約7割に達するというデータも存在します。このギャップが生じる背景には、市販されている既製服のレディースM〜Lサイズが想定する体重レンジ(おおむね50kg台前半〜半ば)と、医学的な適正体重との間に構造的な乖離がある点が挙げられます。
男性にとっても事情は異なります。厚生労働省「国民健康・栄養調査」の成人男性平均データに照らすと、170cmで63.6kgという数値は極めて標準的でありながら、スーツを仕立てる際には「やや細身からジャストフィット」に分類されるケースが大半です。つまり、同じ「63.6kg」という絶対値であっても、ジェンダーによる社会的な期待値や着用する衣服の設計思想によって、体感される重さが歪められているのが実態です。