現場で「親方」と呼ばれるポジションには、弟子や下請け職人を抱えてグループを率いる親方から、自分一人で現場を請け負う「一人親方」まで多様な形態が存在します。一般的に一人親方の平均年収は450万〜650万円程度が中央値とされていますが、この数字面だけを見て「会社員より手取りが多い」と判断するのは早計です。
自営業者である親方の場合、元請けから支払われる報酬はあくまで「総売上」であり、そこから現場への移動ガソリン代、高速代、工具・消耗品費、車両維持費、さらには国民健康保険料や国民年金、個人事業税などが容赦なく差し引かれます。その結果、親方の手取り額は売上総額の60〜70%程度まで目減りすることが一般的です。
年収1,000万円を達成している親方の確定申告書を紐解くと、年間売上が約1,400万〜1,600万円に達しているケースが大半です。一方で、年間売上が600万円の一人親方の場合、経費と税金・社会保険料を引いた実質的な手取り月給は25万〜30万円前後に落ち込み、ボーナスや有給休暇の保障がない分、雇用されている常用職人よりも実質所得が低くなるという建設業における親方の年収格差が深刻化しています。