林家ペーを語る上で欠かせないのが、初対面のタレントであっても即座に生年月日を言い当てる「超人的な記憶力」です。テレビ番組の企画で検証された際も、昭和の大御所俳優から若手アイドル、果てはスポーツ選手に至るまで、数千人に及ぶ著名人の誕生日を瞬時に回答し、共演者を驚愕させてきました。
この驚異的な記憶力は、生まれつきの特殊能力というよりも、ペーの徹底した人間観察とメモ魔としての習慣が結実したものです。ペーは毎朝の新聞の訃報欄やタレント名鑑、雑誌のインタビュー記事を隈なくチェックし、手帳に幾度も書き写して暗記を重ねてきました。「誕生日を覚えるのは、その人がこの世に生まれた奇跡に対する最高のリスペクトだから」。かつてペーが語ったこの言葉に、彼の芸に対する誠実さが凝縮されています。
現場で常にカメラを構え、猛烈な勢いでシャッターを切り続ける行動も、記憶力と表裏一体の愛情表現です。まだスマートフォンはおろか使い捨てカメラすら普及していなかった時代から、ペーは高価な一眼レフやコンパクトカメラを首から下げ、楽屋やスタジオで共演者を撮り続けてきました。「いま目の前にいるこの人の最高の瞬間を残したい」という一念で撮影された写真は数十万枚に達し、昭和・平成の芸能界の歩みを記録した一級の歴史的アーカイブとなっていました。
そして、ペーのトークの合間に絶妙なタイミングで炸裂するパー子の「ハッハー!」「いやだー!」という甲高い笑い声。一見すると無邪気な天然リアクションに思われがちですが、演芸関係者の間では「最高の合いの手」として高く評価されてきました。パー子の笑い声が入ることで、ペーの細かいボヤキ漫談が嫌味にならず、現場全体の空気が一気に華やぐのです。師匠・三平譲りのサービス精神が、あの唯一無二の笑い声を生み出していました。
火災後、赤羽の街で2人を目撃した地元住民のSNS投稿には、足元のおぼつかないパー子の手を優しく引きながら、ファンからの声かけにペコペコと頭を下げて笑顔を返すペーの姿が綴られています。ステージの上だけでなく、生活のすべての瞬間において、2人は街の人々を愛し、愛され続けています。