大都市近郊における野生動物問題の最前線となっているのが、人口約197万人を抱える道都・札幌市です。都市機能が高度に集積する政令指定都市でありながら、市域の南西部には急峻な山林が連なり、山の手と住宅街が直接接する特殊な地形を有しています。
「朝、愛犬の散歩でいつもの遊歩道に出たら、数分前までそこにいたかのような湯気立つ糞と生々しい爪痕があった。足が震えて声も出なかった」――。札幌市南区の住宅街に暮らす60代女性は、当時の特番インタビューの取材班にそう吐露しました。こうした証言はもはや一部の山間部に限られた話ではありません。
現在運用されている札幌市ヒグマ出没情報現在のモニタリングデータや、最新のGIS(地理情報システム)を活用したヒグマ出没マップ2026年最新の追跡記録を見ると、南区真駒内や藻岩下、西区西野、手稲区金山といったエリアの住宅地奥深くまで、アーバンベア市街地出没の警告ピンが連日のようにプロットされています。深夜から早朝にかけて、監視カメラが住宅街の歩道を平然と闊歩する体長2メートル級の巨躯を捉える映像は、SNSでも瞬く間に拡散され、日常の通学路が一変して危険地帯へと変貌する恐怖を突きつけています。
現場で防除にあたる地元猟友会関係者は、重い口を開きこう警鐘を鳴らします。
「昔のクマは人の気配や車のライトを見れば脱兎のごとく逃げ出した。だが今のクマは、車が横を通り過ぎてもチラリと見るだけで、悠然と家庭菜園の野菜を喰い続けている。人間を敵としてではなく、無害な背景として認識している証拠だ」