「1200年以上消えない」と聞くと、超自然的な現象や特殊な地質構造を想像する人も少なくありません。しかし、その真相を紐解くと、奇跡を支え続けてきた人間の緻密な献身と技術的な裏付けが存在します。
火が燃え続ける決定的な理由は、大聖院の僧侶や堂守による24時間365日の薪継ぎ体制です。霊火堂の炉には、燃焼時間が長く火持ちに優れた良質な広葉樹(ナラやクヌギなど)の薪が用いられており、灰の温度や空気の通り道を熟練の感覚で見極めながら、熾火(おきび)を絶やさないよう常に管理されています。
万が一の台風や大雨、あるいは堂内の修復作業時であっても、火種を別の安全な場所へ移して保護する厳格なマニュアルが確立されています。つまり、「奇跡の火」の実態とは、1200年間にわたり一度も途切れることのなかった人々の祈りと規律正しい継承の結晶なのです。