『ジョジョの奇妙な冒険 第3部』の最終決戦において、DIOが繰り出した奇策「ロードローラー攻撃」。読者が長年抱き続けてきた「なぜあんな巨大な重機を選んだのか」「静止した時の中でどうやって運んできたのか」という疑問には、緻密な戦況分析と作中設定の整合性が隠されています。
承太郎のスタンド「スタープラチナ」は、至近距離から放たれる弾丸をつまみ、DIOの放った無数のナイフをも叩き落とす精密性と圧倒的なパワーを誇ります。DIOはナイフ投擲の経験から、「人間サイズの凶器や単発の刃物ではスタープラチナの防御を突破できない」と瞬時に学習しました。そこで導き出した解答が、「回避不能な超重量の面制圧兵器で押し潰す」という物理的な質量攻撃でした。
では、静止した時間の中でどこから運んだのでしょうか。舞台となった1980年代後半のエジプト・カイロ市街地は、都市インフラの近代化に伴う道路工事が各所で行われていました。当時のDIOが停止できた時間は最大9秒間。吸血鬼としての跳躍力(ビルを蹴り跳ぶ脚力)と、時速数百キロメートルに達するスタンドの移動力を掛け合わせれば、半径300〜500メートル圏内にある工事現場へ急行し、重機を頭上に掲げて承太郎の真上へ舞い戻る行動は計算上十分に成立します。
現場に残された承太郎が息を潜めて生存を偽装しようとしていた数秒間、DIOは逃走したのではなく、文字通り「絶対的なトドメ」を刺すための質量兵器をカイロの路上から調達していたのです。