ドイツのヴィトラ・キャンパスに移築された「傘の家」は、世界中の建築ファンや専門家からどのように評価されているのでしょうか。現地を訪れた建築家やジャーナリスト、旅行者の生の声、そして建築レビューから見えてくるリアルな反響を検証します。
キャンパス内には、安藤忠雄のコンファレンス・パビリオン、ザハ・ハディドの消防ステーション、フランク・ゲーリーのヴィトラ・デザイン・ミュージアム、ヘルツォーク&ド・ムーロンのヴィトラハウス、バックミンスター・フラーのドームなど、プリツカー賞受賞者たちの巨大な建築群が立ち並んでいます。その中に佇む、黒塗りの小ぶりな木造平屋「傘の家」は、異質でありながら強烈な存在感を放っています。
実際に現地を訪れた鑑賞者からは、次のような驚嘆の声が多数寄せられています:
「周囲を取り囲むゲーリーやザハの巨大なコンクリート彫刻群のなかで、篠原一男の小さな木造住宅が最も研ぎ澄まされた静寂と圧倒的な緊張感を放っていた」(欧州建築ジャーナリスト)
「中に入った瞬間、外観のコンパクトさからは想像もつかない天井の高さと小屋組の幾何学美に息を呑んだ。日本の伝統建築が持つモジュールの緻密さを肌で実感できる」(現地ツアーに参加した日本人建築関係者)
一方で、「日本の気候風土(多湿な東京の四季や庭の緑)から切り離され、欧州の乾いた大地に置かれたことで、民家としての生活の気配が脱色され、純粋な『彫刻・アートピース』として展示されている」という鋭い観察も存在します。かつて生活の場であった住宅が、ミュージアムピースへと変容した姿は、鑑賞者に深い思索を促しています。