どれほど上質な素材であっても、下処理を誤れば台無しになる。日本料理の現場で受け継がれてきた鉄則は、「徹底した血抜き」と「酒による霜降り」だ。寿司界の巨匠として世界に知られる小野二郎氏の仕事に見られるように、魚介の仕込みにおいて余分な水分と雑味を徹底的に排除する姿勢こそが、素材の真価を引き出す。
家庭で扱う場合、まずは氷塩水に浸して表面の薄皮と毛細血管の血を丁寧にしごき出す。次にたっぷりの日本酒と少量の塩を加えた熱湯にさっと潜らせ、冷水に落として水気を拭き取る。このひと手間を惜しまないことで、生臭さは完全に消え去り、澄んだ旨味だけが輪郭を現す。