彼女のビジュアルの進化は、そのまま日本映画の歴史に残る出演作の歩みと重なる。『君の膵臓をたべたい』で放った儚げな煌めきは、整いすぎていない愛らしさがあったからこそ、思春期の揺らぎを完璧に体現していた。
そこからキャリアを重ね、世界的な評価を獲得した『ゴジラ-1.0』で見せた姿は圧巻だった。荒廃した戦後をたくましく生き抜く女性・典子役において、彼女の引き締まった口元と陰影ある表情は、シリアスな大作映画の巨大スクリーンに確かな説得力を与えている。
アカデミー賞視覚効果賞を受賞した同作が海外でも絶賛された際、グローバルな観客の視線に耐えうる端正なビジュアルが大きな強みとなった。口元の変化は、国内のアイドル的女優から世界水準の映画俳優へと脱皮するための重要な布石だったといえる。