経済的・環境的な条件をクリアしても、制度面と医療インフラという見落とされがちな二重の障壁が立ち塞がります。
猿ペット飼育許可と法律|法的な位置づけの真実
法制度の観点において、猿ペット飼育許可と法律の現状を正しく把握しなければなりません。かつてニホンザルなどは特定動物として都道府県知事の飼育許可が必要でしたが、現在家庭で飼育されるショウガラゴやコモンマーモセットは特定動物(危険動物)の指定からは外れており、一般家庭での飼育に特別な行政許可は不要です。
しかし、法的な制約がないわけではありません。動物愛護管理法により、販売される小型猿へのマイクロチップ装着と登録が義務化されています。また、感染症予防法により、エボラ出血熱やマールブルグ病などの人獣共通感染症(ズーノーシス)の水際対策として、海外からの霊長類の個人輸入は原則として完全に遮断されています。現在日本にいる個体は、法改正前に輸入された系統の国内繁殖個体のみであり、これがい生体価格の高騰と個体数の稀少性に直結しています。
猿を診察できる動物病院の絶対的不足
飼育検討者にとって最も切実なリスクが医療環境です。猿を診察できる動物病院は、大都市圏を含めても極めて限られています。
一般的な動物病院に連れて行っても、「霊長類は専門外であり、麻酔のリスクや保定の難しさから診察できない」と断られるケースが日常茶飯事です。小型猿は代謝が激しいため、わずかな下痢や誤飲、食欲不振が数日で命取りになります。夜間救急に対応できるエキゾチック専門医は全国でも指折りであり、自宅から片道1〜2時間以内に信頼できる専門病院が存在しない地域での飼育は、命を預かる行為として極めて無謀と言わざるを得ません。