多くのファンが息をのんだモブリットの死亡シーンは、過酷を極めたシガンシナ区奪還作戦の最中に訪れました。ベルトルト・フーバーが超大型巨人へと変身を遂げた際、周囲一帯を壊滅させた巨大な熱核爆発級のエネルギー。爆心地に極めて近い位置にいたハンジ班は、瞬時に爆風と数千度の超高熱波に飲み込まれそうになります。
その絶体絶命の刹那、モブリットが取った行動こそが、作品屈指の涙を誘う名場面となりました。彼は躊躇することなくハンジの体を掴み、近くにあった古井戸の中へと力任せに突き落としたのです。直後、猛烈な爆風が地上を薙ぎ払い、モブリットの肉体は炎と衝撃波の中に消え去りました。
なぜ彼は自ら井戸に入らず、ハンジだけを落としたのか。そのモブリットが井戸へ突き落とした理由は、現場の切迫した物理的制約にありました。古井戸の開口部は狭く、二人同時に飛び込む余裕も、自身が退避する時間も残されていませんでした。コンマ数秒の遅れが二人の即死を意味する極限状態において、彼の思考は「自分が助かること」を完全に放棄し、「ハンジ・ゾエという人類の頭脳を生き残らせること」だけに集中していたのです。
死の直前に叫んだ「ハンジさん!!」という最期の言葉。それは上官への敬意であり、友への別れであり、調査兵団の未来を託す祈りそのものでした。アニメ版でもこのシーンは極めて克明に描かれ、ファンの涙腺を崩壊させました。