いざ病院に行こうとした際、患者が直面する最大の疑問が「耳の後ろのしこり何科受診」「耳鼻咽喉科皮膚科どっち」という受診科の選択問題です。適切なトリアージ基準を持たずに受診すると、紹介状の発行や再受診の手間が生じることになります。
選択の決定打となるのは、「病変が皮膚表面にあるか、皮下深部・頭頸部組織にあるか」です。
まず、皮膚科・形成外科を受診すべきケースは以下の通りです。
- しこりの中心に黒い点(開口部)が見える
- 皮膚をつまむと一緒にしこりが持ち上がる(皮膚由来の病変)
- 赤く腫れ上がり、皮膚表面が熱を持って化膿している
- 傷跡を最小限に抑えてきれいに摘出したい(この場合は特に形成外科が適格)
一方、耳鼻咽喉科・頭頸部外科を受診すべきケースは以下の条件に該当する場合です。
- しこりが皮膚の奥深くにあり、表面の皮膚だけを滑らかにつまむことができる
- 耳の下から顎、首筋にかけて複数のしこりがある
- 風邪症状、発熱、喉の痛み、耳の閉塞感・難聴を伴っている
- 顔の動かしにくさ(顔面神経麻痺)や、唾液を分泌する際の違和感がある
近年の総合診療クリニックや耳鼻咽喉科では、触診に加えて超音波(エコー)検査を初診時に導入している施設が増えています。超音波を用いれば、わずか数分の非侵襲的な検査で、病変が嚢腫性(粉瘤など)か、血流を伴う充実性腫瘍(耳下腺腫瘍やリンパ節)かを明確に判定可能です。迷った場合は、超音波検査機器を備えた耳鼻咽喉科、または皮膚科・形成外科を標榜するクリニックを選ぶのが賢明なアプローチです。