映画史における興行収入の首位争いほど、ドラマチックな人間模様を映し出す舞台はない。2019年、ケヴィン・ファイギ率いるマーベル・スタジオの集大成『アベンジャーズ/エンドゲーム』が一時的に王座を奪取した際、ジェームズ・キャメロンは潔く祝福のメッセージを贈った。だが、巨匠の反撃は早かった。
中国をはじめとする世界各地での再上映。この巧みな一手により、『アバター』は瞬く間に首位の座を奪還した。一度は勝利を手にしたケヴィン・ファイギの牙城を、フィルム一本の再配給で突き崩す。キャメロンという男が持つ映画の寿命に対する執念と、興行というビジネスの冷徹なゲーム性がこれほど鮮烈に浮き彫りになった瞬間は他にない。