言葉の変化は、実体経済や市場のトレンドとも密接に連動している。外食産業においては、空前のクラフトハンバーガーブームや、赤身肉・熟成肉を前面に押し出した専門店の増加に伴い、メニューの説明文やキャッチコピーに「肉々しさ」を掲げることが売り上げを左右する重要要素となった。
また、食品業界の開発現場においても、この「肉々しさ」の追求が至上命令となっている。とりわけ大豆タンパクなどを原料とする代替肉(プラントベースフード)の進化は著しく、本物の肉が持つ噛みごたえや繊維質、肉汁感をいかに再現するかという文脈で、「肉々しい食感」の科学的解明が進められている。単なる形容文句を超えて、製品のクオリティを評価する客観的な尺度として機能し始めている点は実に興味深い。