2014年リリースのアルバム『RAY』の表題的ポジションを担い、後にシングルカットや初音ミクとの歴史的コラボレーションでも話題を呼んだ『ray』。この楽曲の誕生には、バンドの表現領域を大きく拡張する大胆な転換点がありました。当時の音楽専門誌のロングインタビューや制作ドキュメンタリーによると、藤原氏はそれまでのギターロックの王道にとどまらず、四つ打ちのダンスビートやシンセサイザーの軽快なシーケンスを大胆に取り入れました。
一聴すると非常にポップでキャッチー、思わず体が揺れるようなダンスチューンでありながら、歌われている内容は極めてシリアスで深淵な「喪失」の物語です。この「切ない歌詞とダンサブルなサウンドの対比」こそが、楽曲の持つエネルギーを極限まで高めています。重苦しい悲哀を軽やかなステップに乗せて昇華させるという制作アプローチは、J-POPおよび邦ロックの歴史において金字塔的な成果を収めました。