現代の映像制作であればグリーンバック合成や安全なVFX・CG処理が施されるシチュエーションですが、当時はバブル終焉期の熱気とアナログ撮影のリアリズムが重視された時代でした。この第6話ラストのトラック急制動シーンには、信じがたい撮影秘話が存在します。
当時の制作スタッフや武田本人の回顧録によると、スタントマンを一切使わず、武田鉄矢本人が現場に立った完全一発撮りの実写撮影でした。迫り来るトラックは実車で、ドライバーには熟練のプロ運転手が起用されたものの、ブレーキタイミングがわずか数メートル狂えば命に関わる極限状態。武田の前、わずか数十センチの距離で巨大なフロントグリルが停止した瞬間、現場には張り詰めた静寂と異様な興奮が走ったと伝えられています。
武田鉄矢は後年のインタビューで「恐怖で足がすくみそうだったが、浅野温子さんの鬼気迫る演技とドラマの熱量に応えるには、本気で死線を越える覚悟が必要だった」と語っています。この圧倒的な命のやり取りこそが、30年以上の時を経ても色褪せない映像の説得力を生み出しています。