医療現場のカルテや患者の闘病手記を精査すると、診断に至った経緯には明確な「二極化」が存在します。
一つは、過去の健診で脂肪肝やウイルス感染を指摘され、無症状のうちから3〜6ヶ月おきに定期スクリーニングを継続していたグループです。このグループの多くは、2cm未満のステージI段階で病変が捕捉され、腹腔鏡下での部分切除やラジオ波焼灼療法(RFA)によって数日〜1週間程度の入院で社会復帰を果たしています。
一方、もう一つのグループは「健康診断の肝機能数値が少し悪かったが、痛くもかゆくもないから放置していた」というケースです。右腹部の激しい張りや食欲不振、黄疸を自覚して救急受診したときには、腫瘍が10cmを超えて門脈を塞ぎ、切除不能なステージIII〜IVと告知される悲劇が後を絶ちません。
早期発見を確実にするためには、単一の検査に依存しない重層的なスクリーニングが不可欠です。肝臓がんのエコー検査と血液検査を組み合わせることで、発見精度は飛躍的に跳ね上がります。
- 腹部超音波(エコー)検査:放射線被曝がなく、数ミリ単位の微小結節を直接画像で捉える第一選択の検査。
- 血液生化学検査(肝機能数値):肝臓がんの検査数値の指標となるAST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPの値で肝細胞の炎症度を測定し、血小板数で肝硬変への進展度(10万/μL以下は要注意)を推定。
- 腫瘍マーカーの測定:肝細胞がんに特異的なAFP(アルファフェトプロテイン)、PIVKA-II、AFP-L3分画の3種を同時測定し、微小がんの存在や悪性度を追跡。