麻布という土地を語る上で欠かせないのが、街の奥深くに鎮座する名門・麻布中学校・高等学校の存在です。単なる高級住宅街や歓楽街ではなく、明治期から連綿と続く知的文化の集積地であることが、街全体に独特の品格を与えています。
創立以来、自由闊達な校風で知られる麻布学園高校出身の有名人には、政財界のみならずメディアやカルチャー界の重鎮が多数名を連ねています。戦後の芸能文化を支えたフランキー堺氏をはじめ、作家の安部公房氏、ミュージシャンの山下洋輔氏、演出家・タレントのテリー伊藤氏、元アナウンサーの桝太一氏など、多士済々な顔触れがこの坂道を行き交い感性を磨きました。
こうした知的好奇心と反骨精神を重んじるカルチャーは、街の空気感にも深く浸透しています。麻布の個人書店やギャラリー、古美術商には、表現者としての深みを求める俳優や脚本家が人知れず足を運びます。ただ派手にお金を消費するだけのネオン街とは異なり、文化的な蓄積と洗練された知性が息づいていること。これもまた、本物志向の芸能人たちが麻布に愛着を抱き続ける見逃せない理由です。