俳優が演じる役柄になりきるため、外見や生活習慣、精神状態までも極限まで作り込む手法は、彼の名を取って「デニーロ・アプローチ」と呼ばれるようになりました。この言葉を映画界に定着させた代表例こそ、1976年の傑作『タクシードライバー』です。
大都会ニューヨークの闇に呑まれていく孤独な復員兵トラヴィスを演じるため、実際にイエローキャブの運転手として数週間シフトに入り、夜の街を流し続けました。鏡に向かって銃を構えながらつぶやく「You talkin' to me?(俺に用か?)」の名アドリブは、役と自己が完全に一体化したからこそ生まれた奇跡の瞬間です。
『レイジング・ブル』で鍛え上げた肉体から一転して約27キロ増量した過激な役作りや、『アンタッチャブル』でアル・カポネを演じる際に本人が愛用していたシルクの下着を取り寄せて身につけたエピソードなど、彼の徹底ぶりは今なお後進の俳優たちにとっての伝説となっています。