もし手元の写真が詐欺グループの悪用画像であると判明した場合、あるいはすでに金銭を振り込んでしまった、指定された暗号資産ウォレットに送金してしまった場合は、一刻を争う初動対応が要求されます。恥ずかしさや絶望感から事実を隠蔽しようとすることは、被害回復の可能性を自ら握りつぶす行為です。
まず最初に行うべきは、客観的証拠の完全保全です。相手とのLINEやマッチングアプリのトーク履歴(相手がアカウントを削除・退会する前に画面全体のスクリーンショットを保存)、送られてきたすべての画像ファイル、相手のプロフィール画面、振込先の銀行口座番号や名義、送金した暗号資産のトランザクションハッシュ(送金履歴データ)を漏れなく保存してください。証拠を確保したら、相手への追及や問い詰めは絶対にしてはいけません。詐欺グループは追求された瞬間にチャットルームを消滅させ、連絡を完全に遮断して逃走します。
次に、速やかに公的機関への通報と専門家へのアクセスを行います。
公的窓口としては、警察の専用ダイヤルである警察相談窓口9110(または最寄りの警察署の生活安全課・サイバー犯罪対策課)へ連絡し、被害届の提出と相談実績を作ります。警察への届出は、金融機関に対して口座凍結(振り込め詐欺救済法に基づく口座凍結手続き)を要請する際の決定的な根拠となります。
さらに、実質的な被害回復・資金回収を目指す場合、弁護士による返金請求の理由と意義は極めて大きくなります。国際ロマンス詐欺で使われる振込先口座の多くは、日本国内で買い取られた不正な「トバシ口座」であり、マネーロンダリングの経由地として使われています。サイバー犯罪や越境金融詐欺に精通した弁護士であれば、迅速に「口座凍結要請」を金融機関へ送付し、口座に残高が残っている段階で資金を差し押さえる法的措置を講じることが可能です。暗号資産の場合でも、ブロックチェーン解析ツールを用いて送金先ウォレットを追跡し、国内外の暗号資産交換業者に対して開示請求や資金凍結を迫るアプローチが存在します。
ただし、ここで最大の注意点があります。ネット上には「国際ロマンス詐欺の被害金を100%取り戻します」と謳う悪質な探偵業者や、無資格の自称・返金コンサルタントが横行しています。着手金だけを騙し取る「二次被害(リカバリー詐欺)」が深刻化しているため、必ず日本弁護士連合会に正規登録されている法律事務所であり、かつ国際金融詐欺の実務経験が豊富な弁護士に直接面談・相談してください。