本作の大きな特徴は、歴史の骨組みを忠実に尊重しながらも、キャラクター造形や戦闘描写に大胆なストリートカルチャーやヤンキーアクションの文法を導入している点です。
外見と行動様式の現代的リミックス
史実の土方歳三は「漆黒の羽織をまとい規律に厳しい冷徹な管理者」としての側面が強調されがちですが、本作では喧嘩上等の熱血不良少年としてスタートします。リーゼントを彷彿とさせる髪型や、現代の格闘技に通じるストリートファイトの要素がふんだんに盛り込まれ、若者たちの鬱屈したエネルギーが幕末という時代と共鳴する形で描かれます。
池田屋事件や暗殺劇の解釈
史実における芹沢鴨の暗殺は、泥酔した寝込みを襲撃する政治的処刑でしたが、本作では土方歳三との壮絶なタイマン勝負へと昇華されています。歴史的事実という結果(芹沢の死、池田屋の制圧、油小路の変)は変えずに、そこに至るプロセスを「男と男の信念のぶつかり合い」として描き直す点に、原作者・梅村真也氏と作画・橋本エイジ氏の卓越した作劇手腕が光ります。