back numberの結成エピソードは、日本のロック史上でも屈指の切なさと情熱を秘めています。その発端は、清水依与吏が高校時代に経験した痛烈な失恋でした。
当時付き合っていた彼女を、別のバンドマン(ギタリスト)に奪われるという衝撃的な出来事に直面した清水。「彼女を取った男よりかっこいいバンドを作って、絶対に見返してやる」「彼女が戻ってきたくなるような音楽を作りたい」という強烈な対抗心と執念から、自らギターを手に取りバンド結成を決意しました。
バンド名「back number」には、「彼女にとって自分はもう必要のない存在、雑誌で言えば型落ちのバックナンバーだ」という自虐と痛切な未練が込められています。カッコをつけて強がるのではなく、振られたみじめさや弱さをそのまま看板に掲げたこの命名こそが、のちに数千万人の共感を呼ぶバンドのアイデンティティそのものとなりました。
歴代彼女との別れや一方通行の恋心は、「花束」「高嶺の花子さん」「ハッピーエンド」といった初期から中期の代表曲へダイレクトに昇華されていきます。自らの恥部とも言える情けない男心を隠さずさらけ出す清水依与吏の作詞スタイルは、従来のロックバンドが描いてきた「タフでクールな男性像」を根底から覆す画期的なアプローチでした。