深夜に酒を提供する行為は、単に飲食店の自由裁量でできるものではありません。深夜営業を行う居酒屋の減少には、警察行政による居酒屋深夜営業の風営法規制の厳格化と、コンプライアンス遵守の波が大きく関係しています。
深夜0時から日の出までの時間帯に酒類をメインで提供する飲食店は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)第33条に基づき、所轄の警察署を経由して公安委員会へ「深夜酒類提供飲食店営業」の届出を行う義務があります。この届出には極めて厳格な立地条件が定められており、第一種・第二種住居地域などの住居系用途地域では営業が原則として認められず、主に商業地域や近隣商業地域に限定されます。
さらに重要なのが「接待行為の禁止」です。一般的な居酒屋形態として深夜営業の届出を出している店舗では、従業員が特定の客の席について話し相手になったり、カラオケに合わせて拍手やデュエットをしたりする行為は違法な「無許可風俗営業」とみなされます。近年、深夜の居酒屋やガールズバーに対する立ち入り調査が強化されたことで、曖昧なグレーゾーンで営業していた個人店や小規模チェーンが深夜の営業継続を断念したケースが少なくありません。
「朝まで開けられるのは、法令上の基準を完全にクリアし、厳しい書類審査と店舗構造検査をパスした選ばれし店舗のみ」というのが、現代の飲食業界におけるシビアな法意です。