昭和から平成にかけて広く浸透した「スイカを手のひらで叩いて音で選ぶ」という手法。しかし、現代の青果売り場ではこの行為に対して冷ややかな視線が注がれています。
SNSやネット掲示板(5chや知恵袋など)を調査すると、「スーパーの売り場でバシバシ叩いている人がいて不快」「叩いた衝撃で果肉が割れるからやめてほしい」「店側が『叩かないでください』と張り紙を出していた」といった批判的な書き込みが全体の7割以上を占めています。消費者の間でも、叩く行為自体がマナー違反として定着しつつあるのが現場の実態です。
では、そもそもスイカを叩いた音の違いと真相はどうなっているのか。長年スイカ選果場で検査に携わってきた専門家によると、音の違いには以下のような物理的根拠が存在します。
- 「ボンボン」と澄んだ低音:果肉が均一に詰まり、適度な水分とシャリ感がある完熟状態。
- 「ポンポン」「ピンピン」と高い金属的な音:果肉の組織がまだ硬く締まりすぎており、糖度が乗り切っていない未熟状態。
- 「ボタボタ」「ペタペタ」と鈍く濁った重い音:果肉の繊維が崩れ、内部に空洞が生じている「過熟(熟しすぎ)」状態。
理論的にはこのような差が生じますが、市場関係者は「外気温や果実の皮の厚さ、叩く強さによって音は微妙に変化するため、訓練を受けた目利き職人でなければ正確に聞き分けるのは困難」と指摘します。無理に叩いて商品を傷めるリスクを冒すよりも、視覚的な手がかりに頼るほうがはるかに確実です。