炭酸せんべいのルーツは、明治初期にさかのぼります。古くから有馬の地で湧き出ていた炭酸泉(銀泉)は、かつて「毒水」として恐れられていましたが、明治時代に入り外国人医師の分析によって優れた飲用・薬効価値が証明されました。
この炭酸泉の恵みを活かし、有馬の新しい名物を作ろうと立ち上がったのが、三津森本舗の創業者である三津繁松氏らでした。当時、洋菓子作りで用いられていたウエハースの技術と、温泉から湧き出るミネラル豊富な炭酸水を融合させ、油を使わずにヘルシーに焼き上げる菓子として考案されたのが「炭酸煎餅(たんさんせんべい)」の始まりです。
当初は湯治客が胃腸病の療養帰りに買い求める健康菓子として広まり、次第にその軽やかな口当たりと上品な風味が評判を呼び、全国に知られる温泉銘菓へと発展しました。現代では衛生管理の観点から湧水そのものだけでなく厳選された素材と炭酸ガス含有水を用いて製造されていますが、「余計な油脂を使わず、温泉由来の気泡でサクサクに仕上げる」という基本構造は、100年以上変わらず受け継がれています。