お相撲さんの驚異的な食事量は有名ですが、彼らが「1日2食」を徹底している理由はご存知でしょうか。これは決して減量のためではなく、効率的に身体を大きくするための伝統的な知恵です。
激しい朝稽古を終えるまで胃袋を空にしておくことで、身体の極限状態を作り出します。稽古終了直後に大量の糖質とタンパク質を摂取すると、血糖値が急上昇してインスリンが大量に分泌されます。その状態で即座に昼寝をとることで、栄養素を強烈に筋肉と脂肪へと変換し、あの重厚なあんこ型の体躯が完成するのです。一般的な力士の摂取エネルギーは1日あたり約8,000〜10,000kcalに達し、成人男性の所要量(約2,200kcal)の4倍以上に及びます。
この巨体を支える基本食が「ちゃんこ」です。「ちゃんこ」とは力士が作る料理全般を指しますが、その代表格は何といっても栄養バランスに優れたちゃんこ鍋です。今回は、各部屋で代々受け継がれている伝統の「ソップ炊き(鶏ガラしょうゆ)ちゃんこ鍋」の基本レシピを公開します。
🍲 【家庭で再現できる相撲部屋直伝・ソップ炊きちゃんこ鍋レシピ】【材料(4人前)】
- 出汁ベース:鶏ガラ出汁 1,500ml、薄口しょうゆ 100ml、みりん 80ml、清酒 50ml、おろしショウガ 小さじ1、おろしニンニク 小さじ1/2
- 肉団子(つくね):鶏ひき肉(もも)400g、長ネギみじん切り 1/2本、卵 1個、味噌 大さじ1、片栗粉 大さじ2、ショウガ汁 少々
- 具材:鶏もも肉 300g、白菜 1/4株、長ネギ 2本、ニラ 1束、えのき・椎茸 各1パック、木綿豆腐 1丁、油揚げ 2枚
- 出汁の準備:鍋に鶏ガラ出汁を温め、しょうゆ、みりん、酒、ショウガ、ニンニクを加えて味を整えます。「ソップ」とはオランダ語でスープを意味し、相撲界では鶏のことを指します。相撲では「土俵に手をつくと負け(2本足で立つ鶏は縁起が良い)」とされるため、伝統的に鶏出汁が尊ばれます。
- つくねの投入:粘りが出るまでよく練り上げたひき肉をスプーンで一口大に丸め、沸騰したスープへ投入します。これがスープに極上のコクを与えます。
- 具材の煮込み:鶏もも肉、火の通りにくい白菜の芯、椎茸、豆腐、油揚げを順に入れ、中火でじっくり煮込みます。
- 仕上げ:白菜の葉、長ネギ、ニラを一気に投入し、サッと火が通ったところで完成。すりゴマを一味振っていただきます。
相撲部屋のちゃんこ鍋は、多種類の野菜と良質なタンパク質を同時に大量摂取できる、極めて理にかなったアスリート食です。締めにはうどんや中華麺、ご飯を投入して雑炊にし、最後の一滴まで栄養を吸収し尽くします。