かつて大手航空会社の特別番組や乗務員の手記で明かされた証言には、利用客からは見えにくい現場の切迫した状況が克明に綴られています。国内線・国際線に乗務する現役チーフパーサーのひとりは、社内報や取材の場で次のような苦しい胸の内を語っていました。
「荷物棚を持ち上げている際、通路側の男性客がスマホをこちらに向けている気配を感じました。画面を覗き込むわけにもいかず、震えながら業務を続けましたが、フライト後に『ネットに自分の身体の写真がアップされているのではないか』という恐怖で何日も眠れませんでした」
また、機内サービス中に「接客の笑顔を記念に撮りたい」と求められた際も、断ると「客をなんだと思っているのか」「サービス精神が足りない」と激昂され、降機まで執拗な嫌がらせを受けたという報告も数多く寄せられています。SNSやネットコミュニティ上でも、利用客から「隣の席の乗客がCAさんばかり追いかけて動画を回していて非常に不快だった」「他の乗客の顔も思い切り写り込んでいて怖かった」という一般旅客側からの通報・苦情が急増していました。
現場の乗務員にとって、レンズを向けられる行為は「業務への監視」であると同時に「安全運航への重大な妨害」です。緊急時に乗客を迅速に誘導しなければならない専門職が、盗撮や無断撮影への警戒に意識を割かざるを得ない状況そのものが、飛行機の安全運航を脅かす要因となっていたのです。