投扇興の初心者向け体験イベントで最も頻発し、参加者を青ざめさせるのが投扇興のマイナス点と反則役の存在です。多くの未経験者は「的(蝶)に扇が当たりさえすれば何かしら得点になる」と誤解していますが、それは完全な間違いです。
最も悪名高い減点役が「野分(のわき)」です。これは、投げた扇子が肝心の蝶にはかすりもせず、土台である枕だけを直撃して倒してしまった状態を指します。都御流ではこの「野分」に対してマイナス1点〜マイナス5点程度のペナルティが科され、御式流でも枕の転倒は重い減点対象となります。
さらに、厳格な公式ルールにおいて致命的なのが以下の反則・過失行為です。
- 手習(てならい):扇子が蝶にも枕にも一切当たらず、虚しく畳の上を滑って静止した場合。無得点(0点)となるのが一般的ですが、流派によっては持ち点を削られるペナルティが規定されているケースもあります。
- 枕倒し・場外脱落:枕を大きく弾き飛ばして所定の枠外へ逸脱させたり、競技エリア外へ扇子を飛び出させたりする行為。マナー違反としても厳しく戒められます。
- ファウル行為:投擲の瞬間に敷居(投扇位置の境界線)を膝や扇が越えてしまう過失。その投擲は即座に無効と判定されます。
愛好家の間では「初心者は高得点を狙うな、まず野分を避けて手習を減らせ」と口を酸っぱくして指導されます。投扇興は加点ゲームであると同時に、手痛いマイナスをいかに防ぐかという「リスクマネジメントの競技」でもあるのです。