ホビー業界の流通データによると、2024年から2026年にかけて100円ショップにおけるクラフト・造形用粘土の出荷数は堅調な右肩上がりを維持しています。牽引しているのは親子連れだけでなく、20代から40代を中心とする大人世代です。なぜ今、大人がこれほどまでに粘土に引き寄せられているのでしょうか。
最大の要因は、現代のライフスタイルが求める「デジタルデトックス」と「空間の個性化」の合致にあります。陶芸教室に通うとなれば、入会金や月謝で月に1万〜2万円前後の出費と専門の焼き窯が必要になります。一方、粘土工作であれば自宅のリビングで思い立ったその日に、ワンコインで始められます。
SNS上でも「スマホの画面から離れて無心で指先を動かす時間が、どんな瞑想よりもリフレッシュになる」「理想の形状のトレイがどこにも売っていなかったため、ダイソーの粘土で作ったら市販品以上の愛着が湧いた」という第一線の愛好家たちの声が相次いでいます。既製品を消費するだけの生活から、自らの手で美を生み出すクリエイティブな充足感へ。大人のクラフトは、心を満たす豊かな趣味として定着しています。