柚希礼音は1999年に宝塚歌劇団85期生として首席で入団。同期には映美くらら、舞咲りん、十輝いりす、凰稀かなめ(元宙組トップスター)ら錚々たる顔ぶれが並ぶ黄金世代の中で、入団当初からその突出したダンス力と華やかさで異彩を放っていました。
2009年、安蘭けいの後を継いで星組トップスターに就任。以後、2015年5月10日の退団まで約6年(2,200日以上)にわたってトップの座を守り続けました。これは平成以降の宝塚歌劇団において極めて異例の長期在任記録です。2013年には劇団初となる台湾公演を大成功に導き、2014年には現役トップスターとしては真矢みき(現・真矢ミキ)以来16年ぶりとなる日本武道館単独公演『REON in BUDOKAN 〜LEGEND〜』を満員御礼で成功させるなど、数々の金字塔を打ち立てました。
なぜ、絶頂期にありながら退団を決断したのか。当時の記者会見や自著・手記において、柚希礼音は次のような心情を明かしています。
「武道館公演や台湾公演など、組子全員で大きな山をいくつも越えることができた。星組の団結力とパワーが最高潮に達している今だからこそ、次の世代へ誇りを持ってバトンを渡したい」
自身の体力の限界や人気の陰りによる退団ではなく、劇団と星組の未来を最優先に考えた「美学ある勇退」であったことが、今なお多くのファンや関係者からレジェンドとして敬愛され続ける最大の理由です。