重大犯罪の遺族や死刑廃止派の一部からは、長年にわたり日本の終身刑導入議論が提起されてきました。特に「被害者の命が戻らない以上、加害者にも一生罪を償わせるべき」という視点から、仮釈放のない終身刑(絶対的終身刑・重無期刑)の創設を求める声は根強く存在します。
しかし、法制化には複数の構造的課題が立ちはだかっています。
第一に、希望を完全に奪われた受刑者は自暴自棄になりやすく、刑務官への暴力や暴動、自死のリスクが跳ね上がるという刑務所運営上の安全面です。第二に、憲法が定める恩赦と減刑の基準との兼ね合いです。国家による「一生涯絶対に釈放しない」という制度が、憲法が禁じる残虐な刑罰に当たらないかという法理上の懸念も指摘されています。さらに、死刑の適用基準が曖昧になり、かえって厳罰化を加速させる懸念から、法改正の動きは慎重な姿勢が維持されています。