日本中を震撼させたマブチモーター事件の全貌を紐解くと、そこには底知れぬ金銭への執着と、綿密に計算された凶悪な計画が存在していた。犯行の動機は、暴力団関係の借金返済や遊興費の捻出という極めて利己的かつ短絡的なものだった。しかし、その実行プロセスは異常なまでに周到だった。犯行グループは高額納税者番付などを利用して資産家リストを作成し、セキュリティの隙を突いて犯行を重ねていたのだ。
当時の捜査に関わった元幹部や関係者が明かす最新の未公開証言からは、犯人たちが犯行直前まで一切の迷いを見せず、金品を奪うためなら人命を奪うことを最初から計画に組み込んでいた実態が浮かび上がる。「最初から生かして返すつもりはなかった」――捜査官の取り調べに対して吐き捨てられた言葉の数々は、人間の倫理観を完全に逸脱した冷血さを如実に物語っている。金への異常な執着が、いかにして人間性を完全に破壊したのか。残された調書は今もなお、生々しい戦慄を伝えている。