館内に足を踏み入れると、外界の喧騒が嘘のように遮断される。展示室を満たすのは、計算し尽くされた陰影と、作品の放つ圧倒的な存在感だ。緑豊かな自然景観を借景として取り込んだ回廊を進むと、今回の企画展示が持つ明確なメッセージが浮かび上がってくる。
話題を呼んでいる限定展示では、普段は厳重な収蔵庫の奥深くに眠る貴重な作品群が一挙に公開されている。これまで断片的にしか語られてこなかった作品の制作背景や、作家が試作段階で遺した貴重なマケット(模型)の数々。学芸員の執念とも言える徹底した調査によって、作品に刻まれた筆跡一つひとつの意図が鮮やかに解き明かされていた。視界一面に広がるガラス越しの森と、展示室内部のソリッドな空間構成。この対比こそが、鑑賞体験を何倍にも深める仕掛けとなっている。